おしらせ | 2014年1月6日
大阪日日新聞 11/28 掲載されました
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大阪ニュース
皆と過ごす楽しさよ 高齢者孤立防止の取り組み
2013年11月28日
日本の人口の4人に1人が65歳以上で、高齢者の社会的孤立が社会問題となる中、生活保護を受給する単身高齢者を対象にしたつながりづくりが、日雇い労働者の街として知られる大阪・釜ケ崎(西成区)で行われている。居場所となる施設を核に、農作業から芸術活動まで多彩なプログラムを支援団体が用意。登録者は100人を超え、笑顔の“花”を咲かせている。
ひと花センターで演劇の練習に励む利用者ら
「そこで客席の方を向いて…ありがとうございました!」
22日午前、歯科診療所を改装した明るい室内で、数人の男女が演劇の練習に励んでいた。釜ケ崎で生活保護を受給する単身高齢者が利用できる施設「ひと花センター」での取り組みの一環だ。
NPO法人釜ケ崎支援機構ら5団体が、西成区の事業を受託して7月からスタートさせた。
外部の専門家が講師となってプログラムを展開していたが、このほど演劇に詳しい利用者の男性(66)を中心に、地域イベントで演劇を発表したいとの声が上がった。
脚本や演出を手掛けるこの男性は、かつて芝居の役者の仕事などを経験。2年前から生活保護を受給し始めると、家でテレビを見たり、図書館で読書をする生活で「人付き合いは大幅に減った」。そんなときケースワーカーの紹介で施設を利用。「孤独に強いほうだが、やはりみんなでやるのは楽しい」と笑顔を見せる。
演劇は、28日の施設開放日にお披露目。12月6日の地域イベント「萩之茶屋文化祭」で発表する予定だ。
高齢社会白書などによると、高齢者人口に占める一人暮らしの割合は1980年から30年で男性は2・5倍、女性は2倍に増加。孤独死といった社会的孤立が問題となっている。
特に西成区・釜ケ崎(推計約2万5千世帯)では、生活保護受給者約9200世帯のうち、65歳以上の受給者は7割強。受給者全体の約9割が単身世帯のため、高齢者はほぼ独り暮らしの状況だ。
2005年度の大阪市らによる聞き取り調査では、生活保護を受給してアパートなどで暮らし始めた高齢者のうち、人との交わりや会話が減った人は34%、楽しみ事が減った人は23%に上るなど、対策が長年の課題となっていた。
同事業は、社会的に孤立する人が、人とのつながりの中で元気を取り戻し、ひいては区全体の活性化につなげるのが狙い。ひと花センターの取り組みでは、利用者が地域の学校の運動会の設営などに協力。その後、地域住民との交流に発展するケースもでている。
同センタースタッフの広谷賢さん(42)は「足を運ぶにつれて明るさを取り戻す人が多い」と話す。中には「やっぱり独りがいい」と言う人もいるものの、現在の利用登録者は100人強。「今後も利用者を増やしていきたいし、他の地域でもこうした取り組みが広がっていけば」と思いを寄せている。
おしらせ | 2013年12月18日